あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

小神様の逝去に寄せて

いまになって考えるとめちゃくちゃな話だが、最初はエイプリルフールの悪い冗談だと思った。寝起きで頭がぼんやりしていたわたしは、つい先日おせち料理を食べたことや、初詣に出掛けたことなどをすっかり忘れて、その見出しの意味するところを何がなんでも否認すべく、カレンダーを3ヶ月先へ進めようとしたのだ。

意識がはっきりしてくるにつれ、悲しみよりも怒りがこみ上げてきたーー何だそりゃ。ふざけんな。そんな馬鹿な話があってたまるか。糞食らえだ、ちくしょうめ。

何しろわたしにとって神バンドは(1)BABYMETALに対するろくでもない偏見や先入観を取っ払ってくれた恩人である。(2)バンドをやっていた青春時代に思い描いたヒーローの姿そのものである。(3)ファンの最前線で女の子たちを支え、応援し、勇気付ける、論理の飛躍を百も承知で言えば戦友であり、同志であり、かけがえのない仲間である。

そんな神バンドの一員があのような形でチームを離れることになるとは想像だにしなかった。そう簡単に受け入れられる現実ではなかったし、受け入れられないからこそ涙なんぞ一滴も出やしなかった。

けれどもBOHさん、大村さん、青山さん、Ledaさん、前田さん、宇佐美さん、それからBABYMETAL公式の追悼コメントを読んでいくうちに、少しずつ内心に変化が起こってきた。一介のファンにすぎないわたしなどよりもよっぽど苛酷で、よっぽど不条理で、よっぽど糞食らえな現実をどうにか受け入れ、涙を振り払って前に進もうとする彼らの姿勢に感化されたのだと思う。

昨日、大阪城ホールのファンカムを観ていたら不意に泣けてきた。小神様の奏でるギターは、その音のひとつひとつに「藤岡幹大」の4文字が刻印されており、ああ、これだ、これなんだよと思ったときには涙が頬を伝っていた。偉大なギタリストが、BABYMETALと、そうしてわたしたちファンとともに歩んだ日々は、決して色褪せることはない。彼の貢献はBABYMETALの物語の一部として、いつまでも語り継がれていくことだろう。

先生、心からご冥福をお祈りいたします。最大限の敬意と、感謝と、胸いっぱいの名残惜しさを込めて。