あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

『METAL GALAXY』全曲レビュー(DISC-1)

1. FUTURE METAL
お上品なヒップホップ+無機質なジェント+キラキラ電子音=未来のメタル。わたしは汗臭い職人的芸当を尊ぶ人間だから全然そうは思わないが。

2. DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)
90年代の音をぎゅうぎゅう詰め込んだ言うなればエイベックスメタル。あの界隈の誰かをオマージュしたとしか思えないMOAMETALのラップを含め完全に笑わせにきているが、それでいて小憎たらしいほどよく出来ている。メタル方面から聴いても充分なアグレッションを有しており、こうなったら全力でフォーするしかない。

3. Elevator Girl
近所の寺に格言が掲げてある。先日「禍福は糾える縄の如し」というのを見て、この楽曲に思いが及んだ。いつだったか「敬して遠ざけよ」というのを見たときは、なるほど、パンテラの『ウォーク』だなと思った。何にせよ、いかついリフとかわいい歌の対比がすばらしい。

4. Shanti Shanti Shanti
ぐるぐると螺旋を描くようにして陶酔感が増していくサイケデリックな楽曲構成がクセになる。「舞い上がれよカルマ」でぶち上がり、「ヒュールーリーラー」でさらにぶち上がる、この繰り返しとあっては、うっかり我を忘れるのも無理からぬ話である。ライブが楽しみだ。

5. Oh! Majinai (feat. Joakim Broden)
キリル文字圏のヴァイブスが漂うフォークメタル。馬鹿カワ楽しいのだが、ギターの可動域の狭さには正直閉口する。ツインリードが「ないななないない」のフレーズをハモりを交えつつバッキバキに弾き倒すくだりなどがあれば、たったそれだけで楽曲に変化がつくし、メタル好きは大喜びしたはずだ。ライブに期待したい。

6. Brand New Days (feat. Tim Henson and Scott LePage)
おっさんが目を閉じて聴き入っていると自分を見失うおそれがある、ガーリーでエアリーでオッサレーイな4分11秒をあなたに。ポップス好きへの撒き餌なのか、メタル好きへの三行半なのか、はたまたSU-METALのセカンドキャリアへの布石なのか──いずれにしろ、この歌声は麻薬的である。最上級の褒め言葉である。

7. ↑↓←→BBAB
グループイノウの『ハート』が真っ先に思い起こされ、次に電気グルーヴの『ハイスコア』が記憶の奥底から這い出てきた。そんなことはどうでもよい。気持ちのいい男達やらゲーセン魔人やらも無論どうでもよいのだ。

8. Night Night Burn!
ポップスとメタルの融合という意味で完成度が高く、また『Oh! Majinai』などに比べるとギターワークが格段に面白い。けれども例えば『ヘドバンギャー!!』と並べた場合、インストの弱さは否めないところだ。とはいえ近頃「オレオオレオ」からの「ナイナイバーン」が頭ん中を駆け巡っている。歌詞はまだうろ覚えである。

【総評】
鋼鉄の鼓膜が満足する内容ではない。しかし見方を変えれば、このDISC-1はポップス界隈に向けたプレゼンテーションととらえることもできる。すなわちメタルをポップスに落とし込む際の具体的手法が提案されているとこう考えることもできるわけだ。わたしはと言えば、いかにもBABYMETALらしい逸脱が愉快なのと、普段耳にしない音の数々が新鮮に感じられるのとで、DISC-2と合わせて重度の中毒状態に陥っている。