あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

アイドルってすげーなー

これまでに何度となく述べた通り、わたしはアイドルを度外視して生きてきた。それは人生のかなり早い段階で「興味なし」の箱に仕分けられた何だかんだのひとつなのだった。

ところが昨年の春、状況は一変した。女の子たちの画像で日々目方を増すスマホひとつをとってみても、わたしがBABYMETALのアイドル的側面にまんまと丸め込まれ、すっかり骨抜きにされ、手乗り文鳥さながら手なずけられているのは最早争うべからざる事実である。

こうなってしまった以上、アイドルの特長や特質について少々論じておくのが道理だろう。

第1にかわいい。震え上がるほどかわいい。しかも過酷なトレーニングの成果と思しき顔芸や発声を含む挙動のひとつひとつがいちいち可愛らしい。かわいいのが可愛らしく振る舞うんだから無敵であり、お手上げであると同時に、ほとんど猫である。

第2にあれだけ繊細かつハードに踊りながら歌う。もしあなたが楽器経験者ならば、複雑な演奏をこなしながら歌うことの難しさをご理解いただけると思う。要はそれと同じで、女の子たちは、ジミヘンやメタリカのジェイムズ、ローリー寺西などの抜きん出たギターボーカルに引けを取らない離れ業、すなわち極めて高度な「ながら作業(マルチタスク処理)」を、歌と踊りとで実行しているのである。

第3に代償行動の対象として打ってつけの存在である。何しろ独身のおっさんがファンを公言し、大はしゃぎで応援し、ブログに長々しい文章を書いたところでせいぜいキモがられる程度で済む。一般人を相手に同じことをやったら警察沙汰である。つまりアイドルとは文字通りの偶像であると同時に広い意味での福祉であり、また一種の減圧弁でもあるのだろう。

BABYMETALに出会って1ヶ月余りが過ぎた頃、わたしは以下のような洞察を得るに至った。(1)この内心の無闇に浮つく感じはどこかしら片想いに似ている。(2)この生活の妙にうるおう感じは猫を飼っている状態に近い。(3)そら毎日が楽しいに決まっておる。

結論:実際に体験してみるとアイドルってすごい。感心した。

ひとつ残念なお知らせがある。わたしは、しかしだからと言って、ほかのアイドルを試す気など毛頭ない。違うからだ。BABYMETALとは全然違う。あんなのは3秒と聴いていられない。