あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

シャッフル再生は魔法だよ

10年前に買ったウォークマンがほんの数時間で力尽きてしまうので、新しいデジタル音楽プレイヤーを取り寄せることにした。これに手持ちのCDから選りすぐったメタル約500曲を落とし込み、シャッフル再生して楽しむ魂胆なのだった。

さて、結論から言ってこんなものはほとんどドラッグである。何しろ絶え間なく押し寄せるメタルの奔流に身を委ねるだけで癒しと安らぎとが得られるうえ、空元気のようなものまで湧き上がってくる──あくまで個人の感想です。効果・効能を保証するものではありません。また、強い常習性がありますのでご注意ください。

くわえて肝心のシャッフル再生がしばしば味な仕事をやってよこす。なかんずく荒ぶるメタル野郎どもの間隙を突いて、天使のような女の子たちがひょっこり顔を出す瞬間の胸のときめきは、ちょっと筆舌に尽くしがたい。

試しに想像してごらんなさい──パンテラの『ファッキン・ホスタイル』に続いて『おねだり大作戦』が再生される有様を。あるいはメタリカの『バッテリー』に続いて『あわだまフィーバー』が、アイアン・メイデンの『誇り高き戦い』に続いて『イジメ、ダメ、ゼッタイ』が、スリップノットの『スピット・イット・アウト』に続いて『テイルズ・オブ・ザ・デスティニーズ』が、まるで魔法のように鼓膜を揺すぶってくる有様を。

冗談じみたコントラストに思わず頰がゆるむ。いや、本当を言えばBABYMETALの楽曲が再生されるたびにフフッと吹き出してしまう。と同時に、しかし何故なんだろうか、わたしは得体の知れない感動をおぼえるのだ。

こうやって偉大な先人たちと混ぜこぜにして聴いてこそ実感する、BABYMETALのBABYMETALたるゆえん。

感動と言えば先日、冬季五輪の女子スケルトンを見るともなく見ていたときのことである。シャッフル再生がアヴェンジド・セブンフォールドの『ビースト・アンド・ザ・ハーロット』を選曲してよこした。すると、信じられますか、このクサすぎて鼻のひん曲がるようなメロスピがスケルトン女子たちの勇猛果敢な滑りにぴたりと重なって、わたしは不覚にも涙ぐんでしまった。

このように、メタルのシャッフル再生は、快楽性および常習性の意味でほとんどドラッグであり、しばしば不思議のわざを引き起こすの意味でほとんど魔法である。いずれ24時間ぶっ続けで聴いてみるつもりだ。