あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

ディスコメタルと言えなくもない

新曲『PA PA YA!!』を聴くうちに、ふと懐かしい記憶がよみがえってきた。小学校低学年の頃、珍妙極まる音楽に合わせてクソややこしい踊りを踊らされた、そんな黄色っぽく色褪せた思い出がである。

それは『ジンギスカン』と呼ばれていた。何やら異国語で歌われる、どこか悪ふざけじみた、けれども馬鹿にリズミカルで、ことによると「ご機嫌な」と形容できなくもない音楽が流れると、児童たちはぴょんぴょん飛び跳ねたり、ぐるぐるまわったり、つま先とかかとを交互に触ったりして踊るのだった。

坊主頭の少年にとって何もかもが不可解であった。ミステリーと、ナンセンスと、ストレンジ感とをそれぞれ頂点とする三角形のうちに閉じ込められ、悪い夢でも見るようであった──いったい誰が何のためにこんなことをさせる? そもそもこの珍妙な音楽は何なのだ?

30年余りの時が過ぎ、BABYMETALの『PA PA YA!!』を繰り返し聴いていた中年男は、この楽曲が件の『ジンギスカン』に似ていると考えるようになる。いや、似ているどころかそっくりではないか、俗に言うオマージュなのではないか、などと半ば思い詰めるようになる。そうしてYouTubeへ問い合わすに至ったのである。

ジンギスカン(1979) 歌詞付き - YouTube

これには腹の皮がよじれた。一方で、この本気とも冗談とも鑑定しかねる、それでいて躍動感と生命力とが横溢する圧倒的なパフォーマンスに、畏怖の念すらおぼえた。ついでに言うと『PA PA YA!!』には似ていない。ディスコ調のベースラインが共通する程度だろう。

以前からわたしはBABYMETALにディスコとメタルの融合をおねだりしてきた。ここでよくよく考えてもみると、ダークサイド以降に発表された楽曲には、程度の差こそあれ、ディスコ要素を含むものが複数ある。

『Elevator Girl』のイントロはアース・ウインド・アンド・ファイアを彷彿させるし、『PA PA YA!!』はどことなく『ジンギスカン』めいたシュールさを浴びせかけてくるのだし、『Shanti(仮)』にしたってサンタ・エスメラルダの『悲しき願い』が提示する乙なヴァイブスと、見えない糸で繋がっているような、繋がっていないような印象を与えるではないか。

サンタ・エスメラルダ - 悲しき願い Santa Esmeralda - Don't Let Me Be Misunderstood - YouTube

はあ? ディスコメタル? 仮にそうだとしても「いかにも」な楽曲は作らないぜ? BABYMETALはファンの期待の斜め上を行くグループだからね──某プロデューサーのしたり顔が目に浮かぶようである。