あんたのどれいのままでいい

BABYMETAL中毒者の手記

MOAMETALは語りかける

近頃BABYMETALのステージに新たな化学反応が起きているように感じられる。そうしてもし気のせいでなければ、そのシナジー効果だか何だかの中心にMOAMETALがいるように思えてならない。

わたしはあらためて自問する──MOAMETALとはいったい何者なのか? (1)それは世にも可愛らしい生きものである。(2)それは元気と笑顔と心配りとで周囲を巻き込む達人である。(3)それはYUIMETALを欠くBABYMETALにあって、何故かしら未来に希望を抱かせてくれる、言うなれば灯台の光のような存在である。

ワールドツアー初日の公演終了後だった。YUIMETALの不在に加えてダンサー2名追加の情報を得たわたしは、「うええ、マジかよ、正直もうついていけないかもしれない」と頭を抱えた。

そんなメタル好きの中年男が『紅月 -アカツキ-』の間奏で鬼気迫る格闘シーンを演ずるお姉さんたちの姿に不思議な感動をおぼえるまでに要した時間は、信じられますか、たったの2日なのだった。果たして人間は何にでも慣れる。いったん慣れちまえばこっちのものである。

しかしよくよく考えてみると、そうした速やかな馴化を促したのはMOAMETALだったのではないかと思えてくる。無論、彼女の胸のうちは読めぬ。彼女が現今どのような思いでステージに立つかを知るすべはない。けれども、彼女の元気溌剌にして才気煥発たるパフォーマンスは、SU-METALはもちろん、神バンドやダンサーのお姉さんたちをも巻き込んだ新たな化学反応を引き起こすと同時に、わたしたちファンに何やらひどく大切なことを語りかけるかのように感じられるのだ(注)

(注)ときとして人間は、猫にさえ語りかけられたかのような気分になるものだ。いわんやMOAMETALをや、である。

個人的に感じるところはあるが、つまびらかにするつもりはない。それが何であれ、わたしはMOAMETALの無言の語りかけにまんまと釣り込まれ、巻き込まれ、丸め込まれた。そうして、新体制なんだか、物語の一部なんだか、苦肉の策なんだか知らないが、BABYMETALの現在を楽しむことができている。実に有難い話だ。

さて、最後にもう一度自問してみたい──MOAMETALとはいったい何者なのか? (4)設定という分厚い壁に阻まれて憶測の域を一歩も出られないのが残念だが、たぶん、とってもいい子なんだろう。