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あんたのどれいのままでいい

とあるBABYMETAL中毒者の手記

危なーい!

信じられますか? わたしはBABYMETALを聴くようになってしばらくのあいだ、女の子たちがやたらとかわいいことに気付かなかった。

歌や踊りに半ば暴力的な可愛らしさを感じていたのは確かだ。しかしそれはあくまで全体から受ける圧力のようなものであって、個々の目鼻立ちだの耳の大きさだのといった細部には不思議と注意が向かなかったのである。

これにはいくつかの理由が考えられる。

(1)女の子たちがあんまり若いので無意識にブレーキを踏んでいた。(2)アイドルの容姿を盛んにうんぬんするような人間に嫌悪感を抱いていた。(3)肝心なのは音楽であって見てくれは関係ないのだぜという変な意識の高さがあった。

おそらくは以上のような理由から、わたしの脳は女の子たちの容姿をすっぱり捨象した。つまり当時のわたしが見ていたのは「若くて可愛らしい女の子たち」という「記号」が歌って踊る姿だったわけだ。なんという節穴!

ぼんやり者の目をこじ開けたのは『Live in London』のDVDだった。

何度か鑑賞するうちに危険だなと気付いた。気付いたときにはもう手遅れだった。どこからともなく現れた獰猛な可愛らしいがわたしの首根っこをつらまえ、難なく組み伏せたうえ、ゴリラ並みの腕力にものを言わせて目の前の現実に向き合うよう迫ったのである。

「危なーい!」とわたしは叫んだ。「これはもう三者三様にかわいすぎて危険なやつでしょうが! こんなにめんこい女の子たちが歌に踊りに超絶プロフェッショナルなパフォーマンスをやるんだから、そら地球全体がざわざわするわけだぜ! つーか何だこの顔! 見たことねーわこんな表情! かーわー(以下略)」

わたしはアイドルが苦手だ。

BABYMETALに関して言えばメタルの方面からうっかり迷い込んだにすぎない。

そんなわたしのスマホはいまや女の子たちの画像で膨れ上がっている。ときおり眺めては「はあ、かわいいなあ」などと溜め息をつく始末である。なんという認知的不協和

結局のところ、わたしは殺風景な部屋の窓辺に花瓶を3つ並べたのだ。そうしてそれぞれに真っ赤なブーゲンビリア、透き通るような白いユリ、元気いっぱいのヒマワリを挿したのだ。たまには花を眺めて暮らしたって罰は当たるまい。