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あんたのどれいのままでいい

とあるBABYMETAL中毒者の手記

まさかの踊りレビュー

人前で踊った記憶となると小学校の運動会までさかのぼらねばならない。子ども心に「もう二度と御免だぜ」と思った。

何しろ自意識と羞恥心とが人一倍たくましい。悪党に銃を突きつけられ「踊れ」と脅迫されたとしても断固たる態度で棒立ちを貫く、それがわたしという人間だ。

そんな地蔵・オブ・地蔵がプロの踊りをうんぬんするなど好い面の皮である。しかし信じてほしい。わたしの心は、感情は、全身60兆の細胞という細胞は、いつだってリズムを刻んでいる。女の子たちと一緒に踊っているのだ。

さて、いくつかの印象的な踊りについて感想らしきものを書き散らばしてみたい。

メギツネ
ほとんど催眠術的な仕上がりである。メインのソレソレが万国共通のお祭り魂を呼び覚ますうえ、ブレイクダウン後の展開がまあドラマチックなこと。あの神降ろしの儀式が引き起こすのは一種の(健全な)集団ヒステリーだ。

いいね!
最初の手をひらひらさせる踊りからして猛然と上げてくる。さらに例の電車ごっこ的なやつで半狂乱の境地にいざなってくる。YUIMETALの笑顔、MOAMETALの跳躍力、SU-METALの微かに揺らぐ歌声。超カオスである。

洗脳的な何かと見て差し支えない。踊りがシンクロする部分とズレる部分の取り合わせが絶妙で永遠に見ていられる。映画『時計仕掛けのオレンジ』に凄惨な暴力映像を延々見せ続けるという洗脳治療が出てくるが、これのほうがよっぽど効果的ではなかろうか。人間をグニャグニャにする踊りである。

おねだり大作戦
One for the moneyのくだりで熟達したヒップホップ踊りを見せつけてからの無邪気な買って買って攻撃、その落差に度肝を抜かれる。一方でタオルを使った踊りはすばしっこすぎて何をやっているのかわからん。見えない。

Catch me if you can
ひとつの最高到達点である。100回見たあとで即座に101回目が見たくなるやつである。こうも緻密にして愉快な踊りをどうやって考案し、どれだけの時間をかけてどのように落とし込んだのか、地蔵のくせに興味津々だ。何しろ細部にいたる作り込みがちょっと尋常ではない。その要求に見事応えた女の子たちの才能と努力。ほとんど芸術作品と言っていい。

Road of Resistance
とにかく騎乗を模した踊りに尽きる。これをはじめて見たとき、驚きと興奮とで忘我状態に陥った。スマホの小さな画面がみるみる巨大化して視野いっぱいに広がった。わたしは女の子たちと一緒に手綱を握り、がむしゃらに鞭を振るった。耳元で風切り音が聞こえ、ぐんぐんと加速する自分を感じた。気がつくとわたしは涙を流していた。そういう踊りである。

META!メタ太郎
不思議と泣ける踊りである。何故と自問するが答えは判然としない。BABYMETALを観たり聴いたりしていると、こうしたことが頻繁に起きる。この涙の理由については別の機会に詳述するつもりでいる。